◆「京都ぎらい」 ~嵯峨は京都人と違うんやで?~
昔から、「ぶぶ漬けは、いかがどすか?」の話は有名ですが、
この話の信憑性はともかく、
なにか、京都の人とはしっくりこない感があるワタクシ。
南禅寺のたかが湯豆腐が3,000円もするからか?(笑)
それは、さておき、
他府県から見れば、京都に住む人は京都人と当然考えるのが当たり前。
しかし、
我こそが京都人と自負するというか、
さも当然の如く、言い放つ人たちがいるという。
それが京都の中心の碁盤の目の中に昔から住む人々。
いわゆる洛中の人なのです。
洛中の人は、洛中以外に住む人を京都人ではないと言い切るらしい。
気付いていながら誰もあえて書こうとしなかった京都人の恐ろしい一面が
洛外に住む京都人の筆者により鮮やかに浮かんでくる。
2015年10月の最新調査で、
京都府の面積は、全国31位の4,612㎢
洛中がどのくらいのエリアなのかを少し調べてみると、
南北約7.5㎞、東西約4.5㎞
面積にすると、33.8㎢
京都府のわずか1/136の面積に過ぎない。
京都府の人口は、全国13位の260万人
洛中に住む京都人は、何人いるのか分らないが、
そんなごく限られたエリアの人間がいまだに
昔の栄光とプライドを引きずり続けている。
30年ほど前のディスコ全盛期に、一世を風靡した京都マハラジャ祇園。
ひらひらの扇子を振り振りお立ち台で踊るボディコンの女性。
その頂点に君臨するのがなんと「舞子」だったとか。
その他、お坊さんと舞子さんの話。
や、京都の人しか分らない京都の話・・・・・・。
著者の井上章一さんは、京都大学の建築学科の上田篤ゼミで学んだという。
そして建築の道から作家の道へと進路変更をした。
奇しくもワタクシも若かりし学生の頃(京大ではありませんが(笑))、
上田篤先生のもとで何年かに渡り建築模型を作るお手伝いをした経験がある。
作者自身が身近に感じられたことも、
この本を楽しく、読むことが出来た一つの理由かもしれない。
「京都人による京都人の本性を暴露した痛快の一冊」といえるのではないか。
興味のある方はぜひ一読をお勧めします。